期間工の給料は基本的に勤続期間に応じて昇給するのはご存知の方も多いと思います。
しかし、実はそれとは別に、期間工全体の基本となる日給や時給そのものが引き上げられることもあります。
ここ数年はトヨタだけでなく、デンソーやアイシン、豊田自動織機など、主要メーカーで期間工の賃上げが相次いでいます。
今回は、僕がトヨタ期間工として実際に経験した賃上げを中心に、主要メーカーの動向や賃上げが起こる理由、今後の見通しについてまとめてみました。
実際に経験した賃上げの話
時系列順に
僕がトヨタ期間工として経験した日給の変化は、以下のとおりです。
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2024年入社
日給10,450円 -
2025年5月
+350円の賃上げ(日給10,800円) -
2年目
規定どおり1,000円昇給(日給11,800円) -
2026年5月
+350円の賃上げ(日給12,150円) -
3年目
規定どおり300円昇給(日給12,450円)
トヨタ自動車の期間工には、
2年目に1,000円の昇給
3年目に300円の昇給
という、勤続期間に応じた通常の昇給があります。
しかし、それとは別に、2025年・2026年と2年連続で基本となる日給が350円ずつ引き上げられました。
ちなみに、ネットで過去の募集条件を調べたところ、僕が入社する前から日給の引き上げが行われていたことが分かりました。
| 時期 | 1年目の日給 | 引き上げ幅 |
|---|---|---|
| ~2023年3月 | 10,000円 | — |
| 2023年4月~ | 10,100円 | +100円 |
| 2024年5月~ | 10,450円 | +350円 |
| 2025年5月~ | 10,800円 | +350円 |
| 2026年5月~ | 11,150円 | +350円 |
💡 通常の昇給と「賃上げ」は別モノ
勤続年数による昇給に加えて、日給のベース自体が上がる。この2つが重なると、想像以上に手取りが変わってきます。
他メーカーも相次いで賃上げを実施している
こうした賃上げは、トヨタだけで起きているわけではありません。
デンソーやアイシン、豊田自動織機など、ほかの主要メーカーでも期間工の日給や時給が引き上げられています。
| 会社 | 2024年 | 2025年 | 2026年 | 確認できる上昇幅 |
|---|---|---|---|---|
| トヨタ自動車 | 10,450円 | 10,800円 | 11,150円 | +350円 → +350円 |
| デンソー | — | 10,300円 | 10,950円 | +650円 |
| アイシン | — | 1,470円/時 | 1,550円/時 | +80円/時 |
| 豊田自動織機 | 10,500円 | 10,850円 | 11,200円 | +350円 → +350円 |
メーカーによって日給制・時給制の違いや昇給の仕組みはありますが、期間工の基本給を引き上げる動きは自動車業界全体に広がっていることが分かります。
なぜ賃上げが起こる?
ここ数年、自動車メーカーでは期間工の賃金や待遇を改善する動きが見られます。
では、なぜ期間工の賃上げが相次いでいるのでしょうか。
自動車メーカーでは毎年、賃金について労使交渉が行われている
大手自動車メーカーには労働組合があり、毎年の春闘で会社側と賃金や待遇について交渉しています。
📌 2025年春闘のトヨタ労組の要求
ベースアップや定期昇給などを合わせて、職種・階級などに応じて月額9,950円~24,450円の賃上げを要求。前年に続いて過去最高水準の要求でした。
もちろん、労働組合による賃上げ交渉はトヨタだけでなく、ほかの自動車メーカーでも行われています。
こうした賃上げの流れは、正社員だけに限った話ではありません。
実際に自動車メーカー各社では、期間工についても日給や時給の引き上げ、各種手当の見直しなど、待遇を改善する動きが見られます。
期間工の賃金は正社員とまったく同じ仕組みで決まるわけではありませんが、会社全体で賃金水準を見直す流れの中で、期間工の待遇も改定されることがあります。
なぜこれほど賃上げ要求が強くなっているのか?
背景として大きいのが、物価上昇です。
食品や日用品、光熱費などの価格が上がれば、給料が変わらなくても実質的に使えるお金は減ってしまいます。
そのため近年の春闘では、毎年行われる定期昇給だけでなく、賃金水準そのものを引き上げることがこれまで以上に重視されています。
実際、2026年の全トヨタ労連の要求についても、「物価高をカバーできる要求額」と説明されています。
これはトヨタだけの話ではなく、自動車業界を含めた日本企業全体で賃上げが重視されている大きな理由の一つです。
- 物価が上がる
- 今までと同じ給料では実質的な生活水準が下がる
- 労働組合などが賃上げを要求する
- 会社と労使交渉を行う
- 賃金や待遇が改定される
期間工もこうした賃上げの流れと無関係ではなく、各メーカーで基本となる日給や時給、各種手当が見直される可能性があります。
人材を確保するためにも待遇改善が必要
もう一つ無視できないのが、人材確保です。
現在はさまざまな自動車メーカーが期間工を募集しています。
働く側からすれば、
- 「どのメーカーが一番給料が高いのか」
- 「入社祝い金はいくらもらえるのか」
- 「満了金はいくらなのか」
- 「寮費や水道光熱費は無料なのか」
といった条件を比較して応募先を選ぶことができます。
つまり、メーカー側からすると、期間工を採用するために他社と競争しているわけです。
他社が日給や入社祝い金を引き上げている中で、自社だけ待遇を据え置けば、条件面で見劣りして応募者を集めにくくなる可能性があります。
特に人手不足が続く状況では、工場の生産に必要な人材を確保するためにも、ある程度魅力のある待遇を用意しなければなりません。
物価上昇による賃上げの流れに加えて、人材を確保するためのメーカー間の採用競争も、期間工の給料や待遇が改善されている理由の一つと考えられます。
今後も期待できる?
結論から言うと、自動車メーカーの期間工については、今後も賃上げを期待できる余地があると考えています。
もちろん、すべてのメーカーで毎年賃上げが行われるとは限りません。
ただ、今後の賃上げを考えるうえで重要な「物価」「自動車メーカーの業績」を見ると、現時点で賃上げの流れが完全に止まるような状況にはなっていません。
① 物価上昇は今後も続く見通し
ここ数年の賃上げを後押ししてきた大きな要因の一つが物価上昇です。
📌 直近の物価と日銀の見通し
2026年5月の全国消費者物価指数は前年同月比1.5%上昇。日銀は、上昇率がいったん2%を下回る水準まで減速するものの、その後は賃金と物価が緩やかに上昇し、再び2%程度に向かっていくという見通しを示しています。
ただし、「物価上昇が終わり、以前の価格に戻っていく」という見通しではありません。
ここは期間工の賃上げを考えるうえでも重要です。
仮に毎年2%程度物価が上がるのに給料が何年も変わらなければ、実質的に使えるお金は少しずつ減っていきます。
そのため、今後も物価上昇が続けば、春闘などで賃上げを求める動きも続く可能性があります。
「最近の急激な物価高は落ち着く可能性がある。しかし、物価がまったく上がらなくなるわけではない」
というのが、今後の賃上げを考えるうえでのポイントだと思います。
② 自動車メーカーの業績も重要
もう一つ重要なのが、自動車メーカーの業績です。
いくら物価が上がり、賃上げ要求が強くなっても、メーカーの業績が大きく悪化すれば、大幅な賃上げを続けることは難しくなります。
自動車メーカーによって業績には差がありますが、業界を代表するトヨタは、現在も大きな利益を確保しています。
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2026年3月期 売上高
約50兆6,849億円 -
2026年3月期 営業利益
約3兆7,662億円 -
2027年3月期 営業利益予想
3兆円 → 3兆4,000億円へ上方修正 -
2027年3月期 世界生産計画
1,000万台 -
トヨタ・レクサス販売計画
1,050万台
⚠️ 前年より営業利益が減る予想ではある
それでも3兆円を大きく超える営業利益を見込んでいるため、現時点で「業績悪化によって賃上げする余裕がなくなっている」とまでは言いにくい状況です。
また、期間工の賃上げはすでにトヨタだけでなく、デンソーやアイシン、豊田自動織機などでも行われています。
今後の業績次第でメーカーごとの差は出ると思いますが、自動車業界全体として期間工の待遇改善が止まっている状況ではありません。
物価上昇や人手不足が続き、各メーカーが一定の生産を維持するために人材を必要としている限り、期間工の賃金や手当が見直される可能性は今後もあると考えています。
まとめ
今回は、僕がトヨタ期間工として実際に経験した賃上げと、主要自動車メーカーの賃上げ動向について紹介しました。
ここ数年はトヨタだけでなく、デンソーやアイシン、豊田自動織機などでも、期間工の日給や時給が引き上げられています。
その背景には、
- 物価上昇を受けた賃上げの流れ
- 毎年行われる労使交渉
- 人材を確保するためのメーカー間の採用競争
- 賃上げを支える自動車メーカーの業績
などがあります。
今後も同じペースで賃上げが続くとは限りませんが、現在の情勢を見る限り、期間工の賃金や待遇はこれからも改善される可能性があります。
期間工を検討するときは、現在の給料だけでなく、日給や時給、入社祝い金、満了金などの待遇がどのように変化しているかもチェックしておきたいところです。
